注目の一題
最終更新日: 2013-01-20 07:43:16
【平成24年度 開成中学校 算数 出題別難易度】 この数年は比較的難度の低い出題が続いていましたが、平成24年は一転して、受験者平均点が約5割という確かな実力のある受験生を判別できるような出題になりました。 出題の構成も、基礎力と作業力が問われる1番・3番、図形と比に対する経験値や感覚を問う2番、整数に対する知識と感覚を問う4番という、偏りのない、ハイレベルな受験生の実力を測る出題でした。 以下、今年の算数の出題において合否を分けたであろうポイントを考察します。 (出題分析) A…開成合格のために失点は許されない問題 B…完答出来ない訳ではないが、受験生によっては差がつく問題 C…完答よりも部分点狙いに徹するべき問題 1(1)A(2)A(3)B 2(1)B(2)B 3A 4(1)A(2)B(3)B(4)C (寸評) 1 (1) 条件にそって書き出し、落ち着いて計算を進めることが出来れば、確実に正解できるでしょう。 (2) 合計金額に注目することがポイントです。条件を整理し、丁寧な計算を心掛けて、確実に得点に結び付けておきましょう。 (3) やや処理量が多く、試験時間を考えると後回しにしても良いと言えるでしょう。 答案作成の際は単位や言葉を添えることで自らのミスを防ぐとともに、部分点のアピールに結び付けましょう。 2 (1) 平面図形への慣れや着眼の鋭さが問われる良問です。辺と面積の比の関係や、補助線の感覚を磨いておきましょう。 (2) 平面図形と立体図形と比の感覚が求められます。難度も高めなので後回しにしても良いでしょう。 3 基本的な不定方程式です。 問題文を2通りに解釈することができますが、開成中の発表でも柔軟に対応したことが明言されているのでご安心ください。平成24年の問題の中ではもっとも得点しやすいものだったと言えるでしょう。 4 (1) (2)以降の導入です。確実に正解しておかないと話になりません。 (2) 書き出して規則に気づく、という難関校らしい出題です。難度は低いので、開成志望者なら失点できない問題でした。 (3) 開成では頻出の整数に関する問題です。約数や倍数、素数に関する知識に加え、数に関する感覚の鋭さが問われ、点数に差がつきやすい問題でした。 (4) 作業量が多く、時間内に完答することは難しいかもしれません。部分点を確実に稼ぎましょう。 (注目の1題) 3番は開成受験生にとっては典型で、2番・4番は算数の感覚的な素養やその日の調子に左右され、努力量が点数に反映されにくい問題です。 その中で1番は、近年の開成で繰り返し問われてきた早く正確な作業力が求められ、従来の開成対策の充実度が得点差を生んだと言えるでしょう。 以下、解法とポイントを精査します。 (1) まずは問題の条件に沿って書き出してみましょう。 5回の乗車を1セットと考えると、 940+930+920=2790円・・・3セット ここまでで5×3=15回乗車できる 3000-2790=210円・・・あと1回乗れるから 15+1=16回 よって16回・・・答 (2) 940+930+920+910+・・・+860+850+840=9790円 最初の3000円を除くと あと9790-3000=6790円追加する必要がある。 6790÷5000=1.358⇒2回 よって2回・・・答 (3) 0円で乗車してから あと、2012-50=1962回乗ることになる 1962÷5=392セット・・・2回 8950+840×392+420=338650円 最初の3000円を除いて 338650-3000=335650円・・・追加金額 335650÷5000=67.13⇒68回 よって68回・・・答 合計金額に注目することで、正確さとスピードを高めることが出来ました。ただ、根底には「しっかり手を動かして条件を把握する」という開成における必須手法が流れていると言えるでしょう。