中学受験で成功する「黄金法則」とは

(1)5年生

SAPIXの算数のカリキュラムにおいて最も重要度の高い時期にあたります。毎週の新出単元を確実に理解することで、受験算数の解法知識の充実を図りましょう。特に比・割合の学習が今後の受験勉強の礎となってくるので、安定した学習リズムの構築は必須です。 

なお問題の難易度自体は決して高くはないので、一問にじっくりと時間をかける必要がないことも特徴です。

(算数Bの基本的な学習法)

 毎週の学習の定着度を確認する目安がデイリーチェックになります。レベルHの問題で、毎回安定して160を超えることが充分な理解の目安となるでしょう。

 そのためにもデイリーさピックスの★★★まで、毎回完璧を期すことが必要になります。

(学期中の算数の学習リズムの一例)

  1. 授業日の帰宅後すぐに、算数Bの内容を復習する。
  2. 授業の翌日に、デイリーサポートの復習を終える。
  3. 週末の休みを利用して、デイリーサピックスでその週の学習内容を完結させる。
  4. 次回の授業の前日は予備日程とするなど、余裕をもったスケジュールを立てる。

SAPIXの5年生段階の算数の解法知識の充実には、このような余裕をもったスケジューリングが必須になります。やむをえない理由で欠席した週も、授業に参加した週と同程度の理解度が求められます。

(基礎力トレーニングの使い方)

通称「基礎トレ」の特徴として1週間同じ問題が続くことが挙げられますが、この特徴の使い方によっては大きな学習効果が得られます。

1日目に関しては制限時間や出来具合を気にする必要はありません。様々なパターンの典型問題の解法をひとつひとつ確実におさえ、完璧に理解することが大切です。

2日目以降は見直しまで含めた所要時間を計測し、スピードと正確さの向上を心がけましょう。その際に自分のミスのパターンや得手不得手を把握できると、得点に安定感が増すでしょう。

なお出来る限り毎日同じ時間に取り組ませることが望ましいです。同じ条件下、習慣として基礎トレに取り組めるようになることで体調や気分に左右されることのない基礎学力を身につけることが出来るでしょう。

(BASICの使い方)

まずは新5年生になる入試休みにBASIC4(平面図形1)に取り組み、4年生レベルの基礎的な平面図形の公式は確実に押さえておきましょう。難度は抑えめですが、受験において常識と言えるほどの基礎知識の定着として有効です。

その次には6月ごろにはBASIC3(速さ)の旅人算で、作図の方法と距離・速さ・時間の関係を掴んでおくことが必須です。くれぐれも式だけで処理することがないように気をつけましょう。

夏休み前にはBASIC1(割合)で単位の換算と三用法を完璧に使いこなせるようにしておきましょう。今後の算数の学習の基礎となる重要な分野です。

そしてお盆休みにはBASIC2(比)の学習が始まります。ここで算数における抽象的な発想力の基本を身につけることが必要です。

9月からは再びBASIC3(速さ)の特殊算の学習が始まります。SAPIX生にとって差がつきやすい分野なので、例題から確実に押さえていきましょう。

最後にBASIC5(平面図形2)に年末年始を目安に取り組みましょう。掃除の基本計に習熟することで6年生になってからの図形の見方に大きな違いが出てくることでしょう。

このよううにBASICはSAPIX生にとって最も解説の詳しい教材であり、基礎的解法知識を身につけるには非常に有効な教材であると言えるのです。

(2)6年生前半

まだまだ基本的な学習を通して解法知識を充実させることが重要な時期が続きます。基本的には従来の算数Bを中心とした学習を続けましょう。土特に関しては授業で扱った問題を確実に理解する程度で、何度も繰り返して解く余裕はなくても仕方がないでしょう。

この時期に最も大切にしたいことは教材の多さに振り回されず、毎週の平常授業の内容を定着させることであると自らに言い聞かせおきましょう。

(GS特訓への望み方)

例年、ゴールデンウィークには「GS特訓」と称した志望校別特訓が催されます。SAPIX生にとって初めて、他の生徒たちと朝から長時間勉強をする機会で、また志望校の傾向に即した問題を扱う機会になります。この機会を通して受験生としての意識を芽生えさせることが最も重要で、得点を意識しすぎることがないよう注意しましょう。

(中学への算数の使い方)

算数を武器にしたい生徒にとって、月刊「中学への算数」は非常に効果的な問題集となりえるでしょう。「日々の演習」に毎日少しずつ、答案づくりを心掛けながら取り組むことによって、早い時期から開成レベルの難問対策に取り組むことが可能です。

(有名中学入試問題集の使い方)

夏休み前には多くの校舎で「有名中学入試問題集」に取り組むように指定されます。この問題集において、全ての問題を理解する必要は一切ありません。様々な学校で実際に出題された問題に取り組むことで、問題の難度の見極めや、自分なりの時間配分の方法を体得することが目標です。点数で一喜一憂する必要はありません。

(2)6年生後半

夏期講習中は毎回のデイリーチェックで安定した高得点を上げるために、毎日の授業内容を翌日午前中に固めきることが出来れば充分です。毎日授業が続き、心身ともに疲労が大きい時期になるので、健康管理にも今まで以上に力を入れましょう。

9月以降はSS特訓の学習内容の定着と、過去問演習が学習の軸になります。今まで以上に教材の取捨選択が重要になってきます。入試本番で確実の合格点を上げるために必要な勉強から進めていきましょう。

(SS特訓)

夏期志望校別練成特訓・SS特訓開成コースがSAPIXにおける開成対策の中心となります。教材は開成の過去問と模試の数値替えからなり、開成が求める思考力の養成には非常に効果があります。この際に答案づくりも心がけることで、開成の算数における得点の高値安定を目指しましょう。

単科講座は算数の平均偏差値が65程度あれば思考力講座を、それ以外ならば解法力講座で良いでしょう。開成に限らない様々なタイプの算数の問題に触れることで、併願校の対策と考えるとよいでしょう。

(過去問演習)

SAPIXでは授業中には一切、過去問演習を行わないので、土曜日の午前中など決まった時間に水から時間を設けて解き進める必要があります。目安としてはお盆休みころから11月上旬を目標に10年分を解き終え、出題傾向と自分なりの対策を確立したいところです。その際には必ず、講師の添削を受けるようにし、答案の質の向上を目指しましょう。

(テストの受け方)

6年生後半では、開成志望者の中での自分の位置を常に把握しておくことが肝心です。その指標としてまずはSAPIX主催の学校別SAPIXオープンが挙げられます。毎年多くの合格者を輩出しているSAPIX生の中での順位は、合否と相関関係が高いです。余裕があれば四谷大塚や早稲田アカデミー主催の学校別模試も受けておくと、よりデータの信憑性が増すでしょう。

なお出題には多少偏りがあり、また時期も早いため得点は低くなりがちです。点数ではなく順位を意識することを大切にしましょう。

その他の組み分けテストやマンスリーテストは基礎学力の参考と考える程度で良いでしょう。