中学受験で成功する「黄金法則」とは

概要:5年生

日能研も4年生から5年生に移行する時期は、学習量の増加に伴い戸惑う生徒も多いことでしょう。隔週のカリテに合わせて学習を進めていく方法もありますが、6年生になると1週間に1回テストが行われますので、5年生のうちから1週間のカリキュラムはその週にきちんと理解して終わらせるというスタイルを作り上げていく方が無難です。

テキスト

『本科教室』

考えよう1〜5、深めよう1、2は必ず理解できるようにマスターしておくこと。先生の解説をきちんとノートに取り、根本原理を理解することが目的です。各単元の後ろにある問題は、[1]〜[7]まで考えよう、深めようの問題の数値替えになっているため、授業でやったことを必ず家で復習しておくことです。また、[8]以降の問題は、各クラスの先生の指示により課題で出されると思いますが、これも考えよう1〜5、深めよう1、2のどの問題に関連した問題であるのかを見極めて出してあげるべきだと思います。なので、もしむやみやたらにすべて解くようなことになっている場合はご相談ください。

『栄冠への道』

このテキストは、本科テキストの数値替えとなっているため余力があればやってもいいですが、まずは「本科テキスト」を優先して学習スケジュールを組むようにしましょう。

『強化ツール』

共通問題は必ずできるようにしてください。本科テキストだけでは問題のパターンが物足りないので、まずは典型問題のパターン練習として強化ツールを利用し、共通問題を1週間で仕上げるようにしましょう。

『計算と漢字』

5年生で必要最低限の計算は身につけておく必要があるが、女子学院中学を志望する上ではこれだけでは物足りない。お薦 めするのは、みくに出版から出ている『計算問題ランキング』である。6年生でもお手上げのような長い式や4則混合の逆算が多く収録されており、はじめは手こずるかもしれないがこのくらい楽々とできる力をつけて欲しい。

■テストについて

5年生のうちは、カリテの共通は完璧に、応用では計算問題は当然、それ以外に2問以上得点することを目標にして臨むようにしてください。センター模試では120点以上をキープし、偏差値65前後を取れるように。

女子学院中学志望者にとって、他塾にない日能研のメリットは、カリテに“考え方”を記述させる問題が必ず1問出題され、しかもその解答スペースの大きさが女子学院中学の入試問題とほぼ同じ大きさであるということです。女子学院中学に必要な記述式テストの対策を5年生のうちからすることができるのです。これはかなり他塾生よりも有利になるでしょう。普段の勉強から考え方をまとめる力をつけることが大事ですが、皆必要に迫られないとやらないということが多々あるため、このようにテストにでるとやらざるを得ないという状況に追い込むのも必要ではないかと。5年生のうちは、時間制限を意識するというより、論理的に無理のない答案作成を目指しましょう。答案を採点する側としては、線分図やグラフを見る側にわかるように書かれているのか、式が無理のない式になっているのか、式と式の意味の辻褄があっているのかということをみてきます。記述式の問題は特にそれほど難問はでません。つまり答えがあっているのかということはもちろん、きちんと基本事項を理解して問題を解いているのかということが大事なのです。

概要:6年生前半

基本事項の確認と、解法ツールを増やすということが目的です。

日能研は拘束時間が長いのも特徴で、家庭での学習時間が制限されがちです。その中で優先順位を見失わないようやるべきことを効率よくこなしていくことが求められます。

テキスト

『本科テキスト』

5年生同様、考えよう1〜5、深めよう1、2は完璧にすること。各単元にある以前「練成問題」と言われていたものが、名前を変えて収録されていますが、[1]〜[7]はやはり5年生同様考えよう1〜5、深めよう1、2の数値替えとなっています。若干古い問題なので、基本のパターン練習としてはいいかもしれませんが、新傾向問題はほかの教材かまたは市販のテキストを使用するしかありません。

『強化ツール』

共通は必須です。応用は個々の状況に応じてこちらでもピピックアップしていきますが、すべてを解く必要はなく、あくまでも共通問題と関連して、その発展形がこれになるということをきちんと説明した上でやってもらいます。

『栄冠への道』

必要ある場合に適宜取り組む程度で十分。

『計算と漢字』

引き続き日々の練習としては欠かさないようにしましょう。ただ、マンネリ化しないよう前述の『計算問題ランキング』で頭を柔軟にしておくことも大切です。式の工夫、分配法則の利用、円周率の計算、単位換算など、苦手分野を計算で作らないようにしてください。また、自分がどこでいつも計算ミスをしてしまうのかをメモを取ったりして残すようにしてください。次に同じミスをしないようにすることが進歩の始まりです。

『チャレンジ問題・文章題』

日能研テキストでは手薄となる「速さと比」「平面図形の比」の補強を行います。

『チャレンジ問題・計算問題』

こちらでも、円周率の計算、単位換算、工夫する式など分野別に足りない部分を補うために利用します。

日特の取り方

日曜日のカリテの後に日曜日特別講座が始まります。土曜日に通常授業があるため、日曜日がテストと日特でつぶれてしまい、家庭学習の時間を思うように取れなくなるのも日能研生の悩みの種です。

日曜日にやるべきこと
  • その日のカリテまたはセンター模試の直し
  • 既習内容の復習、苦手分野の克服
  • 女子学院中学志望者にとって必要な比の問題の演習

と、山積みです。これらを削ってまで前期日特を取る必要性はあまり感じられません。後期日特は女子学院中学志望者は必須ですが、前期日特の受講は生徒の状況に応じて慎重な判断が必要でしょう。

■ テストについて

女子学院中学志望者のカリテの目安は、共通・応用で110点〜120点です。昨今の日能研テストは他塾の四谷系やSAPIXと比べてもかなり簡単になり、120点以上を取れていないと全体的に女子学院中学安泰とは行かないのも事実です。もし可能であれば後期からでも他塾のオープンテストを受けることをお薦めする。

概要:6年生夏休み

長丁場となるのが日能研の特徴。お盆休み以外ほとんど拘束されるため、授業・その復習・宿題で1日が終わるでしょう。

テキスト

『応用1』

女子学院中学志望者にとって最適な講習テキストは「応用1」です。収録されている問題の大部分が、直前期であれば1分半から2分程度で処理できるようにしておきたい問題です。そのレベルの問題を夏期中にすべて自力で解けるようにしておくこと。このテキストを1冊仕上げることでかなりの力がつくでしょう。

ただ、大部分の女子学院中学志望者の講習テキストは「難問」になってしまいます。思考力問題が中心で、女子学院中学の出題傾向とはかけ離れたヘビーな問題が多いため、併願校に渋谷教育学園付属幕張を考えていない限り、このテキストで夏を過ごすのはかなり負担が大きすぎるところです。心配なのは、国語・社会が抜群にできるので最上位クラスにいる生徒の場合です。講習を受ける前にきちんと取捨選択してあげておく必要があるでしょう。できるのであれば、一つ下のクラスで「応用1」を使って講習を受けるのもよいでしょう。なかなかプライドが許さないということもあるかもしれませんが、自分にとって必要な力をつけるということが大前提となります。

『難問』

大問を扱ったテキストとなり1つにじっくり向き合うという時間が長くなります。そのため、女子学院中学に必要な処理能力の速度を上げるという目的がぶれてしまいかねません。軽めの問題をテンポよく解く作業をどこかに組み込み補充をいたします。『ベストチェック』を1問1分以内に解く、四谷教材の『4科のまとめ』の右1ページ10分以内で解くなど、生徒に合わせて課題を指示します。

『難問』テキストで問題の取捨選択を行った生徒、『応用1』テキストで余力のある生徒には、東京出版『プラスワン問題集』を夏休みに1回転してもらいます。ただし、立体の切断に関する問題は除外します。あくまでスピード練習ではなく、典型問題の定着と解法ツールを増やすという意味で解いてもらいます。正解した問題も、必ず解説を読み、他の解き方がないか自分で考え、それを習得してもらいます。

『銀本』

夏休み中に配布される『中学入学試験問題集』は、在籍クラス・校舎によって指示が異なるので取り扱いに注意です。生徒の状況をみてこちらでも指示を出していきます。

■ テストについて

講習中のテストは、普段のカリテよりやや難易度が抑えめです。ただ、『難問』や『応用1』などに慣れていると逆に思わぬところで基本がぽっかりあいてしまうということになりかねないので注意が必要です。各回の定着テストになりますので、どの単元で自分が落としてしまうのかなどきちんと冷静に図るようにしましょう。

概要:6年生後半

9月以降の学習は、常に冷静に優先順位を設けて行うようにしましょう。

女子学院中学日特

本番と同じ形式でのテスト演習と出題傾向に沿った問題演習の2本立てになります。40分でのテスト演習では、各自に合わせた時間配分の基準を設けるのでそれを実践する場と考えてください。1回終えるごとに、時間配分は適切だったか、解法に抜けがなかったか等をチェックして反省点を洗だし、次回の演習につなげていきます。また、テキスト収録の「補充問題」で時間制限を設けてスピードをつける練習をします。頻出問題の演習量も増やすようにしていきます。

過去問演習

日特のテスト演習と同じ取り組み方をしてください。最低10年分は解きます。はじめに述べた「対策」で、女子学院中学志望者にとって必要な力、「処理能力の速さ」「スピード」「時間配分」この3つを念頭に置きながら、1年1年何がたりなかったのかを反省しながら次につなげていきます。また、11月12月から併願校の過去問も順次取り組んでいきます。

『チャレンジ問題・文章題』

文章題の中で女子学院中学必須の「速さと比」「和と差の比」「平面図形と比」を主に補強していきます。問題量もたっぷりあるのでいろんな角度から出されても自信を持って解けるようにしていきます。

『チャレンジ問題・計算問題』

円周率の多発する問題、体積・表面積答えが一つでなく範囲のある問題など、計算の処理能力を上げるために利用していきます。

■ 最上位クラスの平常授業での使用テキスト

『合格力完成教室 難問』になります。冒頭の「例題」とその解説は重要です。

「知識・技術重点問題」は完璧にしておくこと。この問題の解法がぱっと出てこないようであるとかなり女子学院中学志望は厳しい状況になります。

「運用力重点問題」には3割程度しか必要な問題はありません。

■ それ以外のクラスの平常授業での使用テキスト

『合格力完成教室』になります。収録されている問題は解けて当たり前です。特に「練成問題」は1問に1分30秒と制限をつけて解けるようにしましょう。スピードをつける練習問題として最適です。

■ 直前期(入試直前の1月)に使用のテキスト

『合格力ファイナル 難問』かまたは『合格力ファイナル』

前者であれば深入り不要。後者であれば解法定着の最終チェックとして利用しましょう。

■ テストについて

  • 合格力育成カリテ
  • 合格力育成テスト
  • 合格判定テスト
  • 合格力完成テスト(12月末、1月1週目あたり)

と毎週何らかのテストを受けることになります。

「合格力育成テスト」は、かなりの難問も出題されるのであまり点数にとらわれすぎないようにしましょう。ただ女子学院中学志望にとって最大のメリットは記述式があるということ。「難問」テストの記述式には解答用紙が2枚にも及びます。ここで難問が解けなくても基本原理の確認と、どこまで自分が記述できるのか、書き出せるのかを把握してください。その練習として利用しましょう。

日能研のテストに関するデメリットは、学校別模試がないことです。そのため、上述の「合格力育成テスト」では、「成績表」が、志望登録校の過去の入試で出題頻度が高かった分野順に並べ替えてあります。したがって、志望校によって問題の並び順が変わり、出題されていない分野も正答率表に表示し、志望校対策の一助となるように配置されています。ただ、やはり日能研内の志望者順位だけで合格可能生を判断するのは危険です。日程の都合上、他塾の模試を受けるのは難しいですが、授業を休むか、カリテを代替受験するなどして、他塾の学校別模試を受けることをお薦めします。多くの女子学院中学志望者の母体数で、自分がどの位置にいるのかを客観的に把握するようにしましょう。