中学受験で成功する「黄金法則」とは

[1]5年生

5年生の年間目標は、“計算力の強化”と“根本原理の理解を伴った基礎固め”です。この目標を達成するための、最適な学習サイクルを確立する必要があります。

隔週のカリテを軸にした2週間単位の学習サイクルに慣れてしまうと、6年生からカリテが隔週から毎週になるため、多くの生徒がそこでペースを崩します。また、上位生対象の思考力育成テストが9月から始まるため、5年生後半はカリテ・公開模試・思考力育成テストとほぼ毎週テストが行われます。そこで、5年生のうちから、あらかじめ1週間単位の学習サイクルを組み、その週の学習内容はその週のうちに仕上げることを意識しましょう。

“計算力の強化”に向けて、日々の計算練習を疎かにしてはいけません。『計算と漢字』は毎朝集中して取り組むように、日割りで計画を立てて下さい。軸になる数値(円周率計算、平方数、三角数など)を5年生のうちに暗記することも必須です。

“根本原理の理解を伴った基礎固め”に向けて、『本科教室』の構成が威力を発揮します。各回の冒頭部分で根本原理を学び、「オプション理解」・「オプション活用」・「オプション説明」の三部作でさらに理解を掘り下げることができます。他塾のテキストにはない、理解させることを重視した構成は、日能研生の大きなメリットです。問題演習に気をとられ、オプション三部作がなおざりにならないよう注意しましょう。

『栄冠への道』の取り扱いですが、まずは『本科教室』による根本原理の理解を徹底し、その後の問題演習量を補う必要がある場合には『栄冠への道』の問題を拾い上げて解くという位置づけで構いません。

また、5年生は土・日の家庭学習がポイント。その週のカリキュラム内容を定着させるだけでなく、既習単元(2か月前くらいが目安)の復習を組み込むことで、基礎固めの完了時期が早まります。

他塾にはない、日能研のもうひとつのメリットは、カリテに「考え方」を記述させる問題が必ず1問出題されることです。桜蔭算数で要求される答案作成の練習を、5年生のうちから行うことができます。5年生の間はまずは論理的に無理のない答案作成を目指しましょう。見栄えは良くなくても減点できない答案なら十分です。

なお、思考力育成テストは、記述型男子難関校向けの問題が並びます。桜蔭志望者にとっては必ずしもこの時期に必要な問題ではないため、解き直しを突っ込んでやる必要はありません。あまりにも点数がとれずに嫌気がさすこともあるでしょうが、思考力問題で頭を鍛える場、考え方を表現する力を鍛える場と割り切りましょう。

[2]6年生前半

6年生前半にやるべきことは、5年生までと同様に(1)毎週のカリキュラム内容の完全理解・定着、(2)既習内容の定期的な復習、そして新たに(3)桜蔭志望者にとって、日能研のカリキュラムでは手薄になる分野の補充、が加わります。

『本科教室』、『栄冠への道』、『計算と漢字』の取り扱いは、5年生までと同様です。

『強化ツール』について、「共通」は必須です。『本科教室』での問題演習であらかた定着できているのであれば、「共通」はスピード練習の素材として短時間で処理して下さい。

『難関校対策問題集』は良問が収録されています。桜蔭志望者にとっては、書き出しや数え上げといった『本科教室』にはあまり収録されていないタイプの入試問題に触れることで、ある程度の免疫をつけておくことに意義があります。ただ、算数が苦手な生徒にとっては大きな負担になるでしょう。授業中に取り扱った問題の解き直しすら思うようにこなせない状態ならば、担当の先生に配慮をお願いしましょう。

 

日曜日のカリテ後に日曜日特別講座が始まります。土曜日に通常授業があるため、日曜日がテストと日特でつぶれてしまうと、まとまった家庭学習時間が確保できなくなります。日曜日は、その日に受けたカリテないし公開模試の解き直し、既習内容の復習、後述する「(3)桜蔭志望者にとって、日能研のカリキュラムでは手薄になる分野の補充」等、やるべきことが山積みです。特に(3)は早いうちに手を打たないと、他塾生との差が広がるばかりです。これらと前期日特を天秤にかけたとき、どちらに重きを置くべきかは生徒の状況次第でしょう。後期日特は桜蔭対策のため必須ですが、前期日特の受講は生徒の状況に応じた慎重な判断が必要です。

日能研のカリキュラムで手薄になる分野は「速さと比」と「平面図形と比」。他塾に比べて取り扱う授業回数が少ないがゆえに、1回の授業に様々な内容を盛り込んであるので、一つ一つを正しく理解したうえで問題演習に取り組んで下さい。この主要2単元は、その週だけの学習にとどめず、一定量の演習を継続することが重要です。

[3]6年生夏休み

6年生の夏休み中にやるべきことは、(1)夏休み中の授業内容の定着、(2)前期『本科教室』の解き直し、です。 

夏休みは夏期講習とお盆の期間中の難関校対策講座で毎日のように授業が続きます。授業→復習→宿題でほぼ1日が終わりますが、その日の授業内容は翌日の授業までに定着させるようにしましょう。

夏期講習の『難問』テキストは、桜蔭志望者にとって適度なレベルです。不要な大問が場合の数やテーマ別にいくつか収録されていますが、1冊仕上げるつもりで取り組んで下さい。

それと並行して、前期『本科教室』を網羅的に解き直すことで、典型題の解法定着を完了させたいところです。桜蔭といえども、典型題を疎かにすると足元をすくわれます。

ただし、『中学入学試験問題集』(通称『銀本』)から単元別に問題をピックアップして宿題として課された場合には、前期『本科教室』の解き直しをやめて、『銀本』の宿題に取り組んで下さい。

[4]6年生後半

6年生の9月以降にやるべきことは、(1)桜蔭日特テキストの完全消化、(2)過去問演習、(3)『合格力完成教室 難問』による各分野の総仕上げ、(4)学校別模試の受験、です。

  1. 桜蔭日特テキストを使って、本格的に頻出分野の学習に着手します。不定方程式や条件整理といった、これまでのテキストでは触れることが少なかったテーマが多いため、はじめはやりにくさを感じるかもしれません。テキストに収録されている問題数は決して多くないので、全ての問題に取り組み、一つ一つを自分のモノにしていきましょう。
  2. 過去問演習は、試験時間が現行のスタイルに切り替わった平成16年度以降は全て取り組みます。添削をしてもらうことは必須。加えて時間配分の反省を毎回行い、次の過去問演習につなげて下さい。
  3. 『合格力完成教室 難問』については、冒頭の「例題」とその解説は重要です。「知識・技術重点問題」は完璧にしておくこと。「運用力重点問題」は女子校と共学校の問題に絞って取り組めば十分です。余力があれば、立体図形については男子校の問題にもチャレンジしておくとよいでしょう。  どの塾でも6年生の7月までで入試範囲の学習を一通り終えますが、日能研では9月に新出単元のニュートン算がカリキュラムに組み込まれています。桜蔭では【桜蔭算数:注目の一題】で取り上げたように、平成24年度のⅢで出題されています。日能研のテキストに収録されている問題数が少ないので、別途補って解法を定着させましょう。直前期の『合格力ファイナル 難問』については、授業中に取り扱った問題の解き直しにとどめて構いません。
  4. 日能研のテストに関する大きなデメリットは、学校別模試が存在しないという点です。日能研内の志望者順位だけで合格可能性は判断できません。授業を休む、カリテを代替受験にするといった方法で、必ず他塾の学校別模試を受けるようにして下さい。本番に近い桜蔭志望の母集団内で、各自がどれくらいの位置にいるのかを客観的に把握しておきましょう。

なお、各塾の学校別模試の特徴は【桜蔭算数:学年別学習法】を参照して下さい。