中学受験で成功する「黄金法則」とは

[1]5年生

基本的には、各塾の上位クラスに在籍し、塾内のカリキュラムに沿って学習していくだけで十分です。毎週のカリキュラム内容を正しく理解し、個々のレベルに合致した演習を重ね、週末には定期的に既習内容の復習に取り組む、というごく当たり前のことをこなせるかがポイントです。

ただ、5年生になると、どの塾も必要な学習量が一気に増えるため、はじめは学習ペースをつかむのが難しいかもしれません。春休みまでを目途に、自分なりの1週間の学習スケジュールを確立させたいところです。

桜蔭を志望する志の高い生徒であっても、意外と抜け落ちている重要なポイントが以下の3点です。

(1) 処理速度を上げるための適切な計算方法

計算問題で失点しないということは重要です。ただ、それだけでは不十分。軸になる数値を覚える、常に計算の工夫を意識する、暗算力を鍛えて数値感覚を磨くことで、処理速度が上がっていきます。

(2) 問題を解く際の基本的動作

問題文の斜め読みはしない、問題文中の指示をマーキングする、図・表・式を書いて問題文中の情報を整理する、答えを書く前に何を求める問題かもう一度確認するなど、問題を解く際の基本的動作が身についてない上位生は案外多いものです。これらの基本的動作は5年のうちに、遅くとも6年前半には身に着けておきましょう。

(3)テストでの時間配分と見直しの習慣

テストの際にあらかじめ見直しの時間を確保している生徒は少数派でしょう。また、正しい見直しの仕方を確立している生徒はさらに少ないはず。テストでの見直しの仕方を指導してもらったうえで、それを実践していく必要があります。

以上の3点にも留意しながら、日々の学習に取り組んでいきましょう

[2]6年生前半

夏休みに入るまでは、5年生のときと同様に、各塾のカリキュラムに沿って学習を進めて下さい。難易度が上がるため、毎週のカリキュラムの内容を理解するだけでも大変になってきますが、あくまでも重要なのは各分野の根本原理の理解と盤石なる基礎固めです。ここを疎かにして難問に時間を割くようでは困ります。

大手塾では、志望校判定テストの類いが6年生前半から本格的に実施されます。桜蔭の合格可能性が△%と目に見える形で提示されるので、生徒にとっては気になるところでしょう。ただ、この時期の合格可能性の数値はさほど参考材料になりません。重要なのは、どの問題が解けてどの問題が解けなかったのかの識別です。折角受けたテストですから、自分の抜け落ちた穴をはっきりさせ、その後の学習につなげていきましょう。

[3]6年生夏休み

どの塾も6年生の7月までに入試範囲の学習をほぼ一通り終えます。よって6年生の夏期講習は、これまでの学習内容の総復習に入ります。夏休み中に総復習を1回転、さらに9月から冬休みに入るまでに網羅的な総復習をもう1回転と考えておきましょう。

なお、基礎を固める作業は6年生の夏休みまでがタイムリミットです。算数を苦手とする生徒であっても、ここまでに盤石な基礎固めができているように、日々の学習を積み上げて下さい。

[4]6年生後半

9月以降は、4教科の学習バランスを考慮しつつ、各自優先順位をつけて必要な学習に取り組んでいきましょう。

算数は、(1)各塾の桜蔭対策講座、(2)過去問演習、(3)学校別模試、(4)各塾の通常授業、という優先順位になります。

(1)各塾の桜蔭対策講座

9月以降の学習の主軸となります。塾ごとに多少のカラーの違いがありますが、英知を集めて研究し作成したテキストやテストですので、正しく取り組めば高い学習効果を得られるでしょう。

(2) 過去問演習

過去問演習は、試験時間が現行のスタイルに切り替わった平成16年度以降は全て取り組みましょう。1回転目をいつまで終えるか、2回転目をどう取り組むかについては個々の状況により異なります。

桜蔭の狭い解答欄に何をどれくらい書けばよいのかを会得するためには、講師による答案添削が必須です。加えて時間配分の反省を毎回行い、次の過去問演習につなげて下さい。

(3)学校別模試

〔1〕 SAPIXの学校別サピックスオープン(第1回が9月末・第2回が11月初旬)

桜蔭オープンは本番より問題の難易度が高いのが特徴です。ただ、例年最も受験者数が多く、本番に近い状態で桜蔭志望者内の位置を最も正確に把握できる模試であると言えます。

〔2〕早稲田アカデミーのNN最難関オープン(10月末又は11月初旬)

NNの桜蔭オープンは出題レベルが最も本番に近く、テストの完成度の高さが特徴です。 NN1組に在籍する生徒たちは桜蔭受験という枠内においては他塾を含めてもトップクラスを形成する精鋭集団なので、他塾の上位生に是非勝負を挑んでもらいたい模試です。

〔3〕四谷大塚の学校別判定テスト(11月初旬)

四谷大塚自体はデータ分析に定評がありますが、母集団のレベルが他の2つの模試と比べて少々低く、成績の数値が甘く出てしまう可能性があります。ただ、傾向に即した出題ですから、順位ではなく点数を意識して下さい。

(4)各塾の通常授業 

どの塾も全分野にわたる網羅的な問題演習を行うカリキュラムになるので、間違えた問題の解き直し・理解だけはおざなりにしないことです。