中学受験で成功する「黄金法則」とは

1) はじめに

①入試問題で求められている力は何か

開成中の入試問題では、問題で指示された通りに、文章を、対比や因果関係などに注目しながら読み取ることによって素直に解いていくことが求められる。

したがって、何が解答する際の手がかりになるかに気づかないまま答えようとしても、得点することは難しい。

また、開成中の問題は、ハイレベルの情報処理能力を求めており、ここまで求めてくるところはないともいえるほどである。

筑波大付属駒場中、麻布といった難関校とはまた一味違う入試問題といえる。

②2013年(平成25年)入試の見通し

2012(平成24)年に国語の合格者平均点が20点ほど上がった理由

開成中学のここ10年間の国語の合格者平均点は、配点(85点満点)に対して、以下のようになっている。

H15 53.4点
H16 40.1点
H17 50.8点
H18 44.1点
H19 58.8点
H20 46.3点
H21 52.4点
H22 50.9点
H23 36.2点
H24 56.0点

このように、かなりの幅での上下動が見られる。また、平成22年、23年は連続で平均点が下がっているが、平成24年は20点近く平均点があがっている。このことから、前年低ければ上がるように、前年高ければ下がるように出題を考えていると見ることはできる。

とすると、平成25年は、多少の難化が予測される。

例年、受験者平均点を合格者平均点が7~8点ほど上回る。この差は、算数では15点前後であることから、算数での得点力が合否に大きく影響することは否めない。

2011(平成23)年に前年比15点近く国語の合格者平均点が下がった理由

この年度の問題だけが、特に難しかったという訳ではない。どちらかと言えば、2010(平成22)年度の入試問題のほうが難しかったと言える。このような現象が起きた理由は、いったい何だろうか。

第一に、設問の文を読む際に、頭の中だけで考えてしまい、文章の中から忠実に解答の手掛かりを見つけ出して解くという方向での取り組みができなかった可能性がある。

とりわけ、「象徴」関係の読み取りを求める問題が複数出題されたことで、受験者が苦労したとみられる。

第二に、設問の指定である「わかりやすく」を額面通りに受け取ってしまい、必要以上に詳細に書こうとして、時間不足で仕上げられなくなってしまった、という可能性がある。

「わかりやすく」という表現が使われたのは、記述7問のうち4問もあったため、ひとつひとつていねいに解答を作ろうとすると、時間が足りなくなったであろうことは、想像に難くない。

もちろん、この二つだけが原因であるとは言えないだろう。とは言え、要求される記述の量が増えつつある傾向は否めない。開成中学志願者は、入試に向けて、何よりも記述力を磨くことに集中して欲しい。

このところ、開成中学の入試問題の傾向として、算数の難問の割合が減少し、算数で得点差をつけることは難しくなりつつあることがあげられる。国語の得点力を上げる方が、効率がよいともいえる状況になっている。

もちろん、国語より試験時間が10分長い算数については、中学側に、それなりの思い入れがあるはずである。また、問題を「がんばって」読み取る力、ひとつひとつの問題に対する集中力、論理的思考力は、科目を問わず求められているとみられる。どの科目も軽視することはできない。徹底した準備とトレーニングが必要である。

2)どのような文章が出されるか

ここ数年内に出版された作品が出典となることは、あまり多くない。出版後、ある程度経過した作品、および、近代文学史上の作品が出典となることが多い。物語以外では、時代背景まで考えることが求められる文章は出典とされないようである。

文章の主題としては、「成長」、「親子関係」、「世代間関係」「学校をめぐる人間関係」、「戦争」、「文化論」など様々である。日本の近代について、様々な世代の関わり方や感じ方を理解する想像力を求めるような文章が頻出である。

文章の種類としては、物語文を出典として一題、論説文または随筆文を出典として一題というところが標準的である。ただし、平成24年、平成19年は、物語文一題であった。したがって、長文の大問について、一題、二題の可能性をともに考えておくべきであろう。

3)どのような問題が出されるか

記述と漢字の書き取りで構成される。

漢字問題のレベルは、決して高いものではない。全問正解したいところである。

記述問題の出題形式は、抜き出しもあるが、説明記述が中心である。

たとえば、気持ちの理由の説明、たとえの説明、心情の変化の説明、内容の説明などである。また、わかりやすく説明することが求められる場合もある。「本文中のことばを用いて」という指定も見られる。自分の体験に関する記述が求められたこともある。記述のパターンについては、一通りこなせる対応力が必要である。

なお、具体的指示に注意が必要である。

たとえば、「~の時」の気持ち、「~をふまえて」、「どんな点に」など、読み落としが許されない指定が要注意である。

内容面では、部分部分の理解を問う問題では、傍線部の内容、理由、気持ちの説明をも御tめる問題が大半である。

全文を踏まえて解く問題では、テーマ、象徴の読み取り、表現技法の効果を問うもの、要約させるもの、全体の要旨を問うもの、心情の変化について説明を求めるものが多い。

開成中学の入試問題の記述問題は、パターンとして確定した出題様式があるわけではない。出題について、形式・内容が予め定められていて、その定型に従って問題が作られるという訳ではなさそうである。その分、オールラウンドな対応力が求められ、演習の量・質・幅が問われることになる。

したがって、開成中学を志望する受験生は、あらゆる種類の記述問題について、対応力を高めるトレーニングを積み重ねていってほしい。

その分、文章や設問を掘り下げて出題意図を深く推測することまでは必ずしも求められていない。他の難関校との比較で言うと、麻布中学ほどは、掘り下げなくても合格水準に達するとみることができる。準備中