上手な塾の使い方・四谷大塚
四谷大塚生、早稲田アカデミー生のための開成中入試対策
著者: winwin1217 | 最終更新日: 2013-01-01 19:20:25
①予習シリーズの特徴と活用法
予習シリーズは量より質の教材である。各単元で学習する内容が冒頭にまとめられており、その単元の学習で身につけるべき読解方法が示されている。その部分を授業前によく読んでおく事が大切だ。このときに注意したいのは、読解問題の文章は読んでしまわない事である。実際の入試や模擬試験で出会うのは初めて読む文章ばかりだ。冒頭で学んだ方法を念頭に置いて、初見の文章でそれを実践するのが重要なので、文章を読んでしまうと読解の訓練にならない。
授業で実際に問題を解くときにも、冒頭で学んだ方法を実践するという意識をしっかり持って取り組もう。予習シリーズの読解問題は、基本と発展が一題ずつ用意されているが、基本レベルの文章は読みやすい場合もある。すらすら読めてしまうと、訓練すべき読解方法をあまり意識せずに正解が出せてしまう。すんなり出来てしまう問題であっても、どのような方法を用いて正解を出せているのかを意識しよう。
予習シリーズは体系的に読解方法を学んでいくのに適している。各単元で確実に方法を身につけ、自分が使える武器を増やしていこう。演習問題集も用意されているので、開成中志望者は予習シリーズの発展問題以外に、演習問題集にも取り組んで反復、定着を図りたい。
各単元には文法や語句などの知識問題の解説と演習がついている。これも準拠した別冊の問題集があるので反復学習に活用しよう。漢字についてもシリーズに準拠した問題集を活用すれば十分な力がつく。
どの集団塾にも共通の問題であるが、中位以下のコースに在籍していると、基本問題の解説が中心になり、演習問題集はおろか予習シリーズの発展問題すら十分に扱わない場合がある。それだけでは各単元が理解不足になりかねない。開成中志望者の場合、応用・発展レベルの問題に取り組む必要がある。そこは市販教材で補っていく必要がある。特に記述力の養成が必須である開成志望者には、予習シリーズや演習問題集の記述問題では文章や問題の難易度が不足しているし、演習量も足りないのは確かだ。
問題になるのは読解を訓練する際の質と量のバランスだ。
たとえば、早稲田アカデミーの生徒はWベーシックを課題として出されるが、これを全てこなそうとすると消化不良になる。類題を大量に反復して理屈ではなく身体で覚える事が有効な場合もあるが、消化不良のままでの大量反復は百害あって一理なしだ。しかし、予習シリーズや演習問題集だけでは演習量が足りない。演習量と読解の質のバランスの問題は、常に集団塾が直面するジレンマだ。
本音を言えば、受験国語の方法に通じた大人、可能であればプロの国語の講師が、その受験生のレベルに合わせて、量と質のバランスをとりながら指導するのが望ましい。
読解の質の維持のために、開成中志望の早稲田アカ生・四谷大塚生は、授業で解説された記述問題は必ず書き直しをして、できれば国語の講師(あるいは受験国語に通じた大人)に添削と個別のアドバイスをもらいたい。
具体的な復習の仕方を以下に紹介しておく。
上記の復習ノート例を見てもらえば、記述問題とは設問のポイント(条件・要求)を理解し、傍線部の手掛かりからスタートして、答えを組み立てていくものだとわかる。つまり記述問題とは論理的な組み立ての問題なのだ。したがって余計に読解の質が重要になってくる。むやみに問題を解いても記述力は強化できない。かえって自己流の悪いクセがついてしまう場合もある。
一見すると非常に難しく思える記述問題も、正解に到達する過程の第一歩は、接続語や指示語が重要な手掛かりになっていたりする場合が多い。論理的な組み立ての一歩一歩は基本の積み重ねなのだ。この点で読解の方法を一つずつ大切に体系的に学んでいく予習シリーズは良い教材であると言えるだろう。
しかし、良い教材といえども指導する側に問題があれば役には立たない。生徒が自分で論理的な組み立ての段階を追っていけるように、講師はうまく問いかけ、誘導していく必要がある。それが理想なのだが、ここでも集団塾のジレンマが問題になる。生徒一人ひとりのレベルは異なる。その生徒にわかる言葉・わかる理屈で答えの組み立てを教えるのが理想だ。けれども集団指導では一般化した論理で教えるしかない。授業時間の制約もあるので、結果的に一方的に答えを教える授業になってしまう場合もある。(本音を言えば、個別指導や家庭教師がマンツーマンで教えるのが理想である。集団指導では全員が満足する指導はできない。)
また、四谷大塚や早稲田アカデミーの国語では、要約の課題が出される事が多いが、この要約というのも難物であって、生徒に任せて課題で出すのは危険である。要約を自力で組み立てられる生徒がそれほどいるとは思えず、問題だらけの要約をしてくる生徒が大部分であろう。その問題だらけの要約をきちんと読んで添削するのは大変な作業である。どうしても対応に不十分な面が出てくる。生徒にとっても講師にとっても生産的ではないのは明らかだ。
②四谷大塚6年生「週例テスト」の位置づけ
週末ごとに実施される週例テストは、解説授業まで含めて受講すると、まるまる日曜日がつぶれるボリュームになる。通常授業で週3日を費やし、日曜日もつぶれてしまうとなると、十分な復習の時間がとれず、消化不良になって学力低下という結果を招きかねない。テストと解説授業の組み合わせは得点力強化に有効な面もあるが、テストテストの繰り返しで消耗していくのは回避したい。通常授業にもあてはまる事だが、膨大な学習量に押しつぶされるのは最悪のパターンだ。週例テストに関して言えば、6年生後半は受講を見合わせるほうが良いだろう。
③四谷大塚6年生「校別対策指導の特別コース」の位置づけ
開成中志望の四谷大塚生は、9月からスタートする特別コースを受講するべきだ。ただし、選抜基準に達していないと受講できない。2011年度の場合、7月実施の第2回合不合判定予備テストで、4教科総合の成績が男女各上位600位以内の生徒、もしくは6年生4教科必修講習の受講生で、8月下旬に実施された講習会判定テストで基準に到達した生徒に受講が認められたようだ。どこの学習塾でも、特別なコースの選抜方法や選抜基準には多少の幅もあり、例外的に受講が認められる場合もあるが、早めに基準を把握して準備しておきたい。
④「YTテスト・土曜特訓・日曜特訓・NNアタック・志望校別特訓」の位置づけ(早稲田アカデミー生)
早稲田アカデミーでは、土曜日にYT教室、土曜日集中特訓(小6秋スタート)および日曜日には日曜特訓、NNアタック(小6春から夏)、NN志望校別特訓(小6秋スタート)などのオプション講座が用意されている。
早稲田アカデミーの看板講座で成果もあげているNNアタックは受講をお奨めしたい。看板講師の授業を受けるチャンスであり、早稲田アカデミー以外の塾の生徒とも交流できる。開成中をはじめとした最上位校の講座であれば、早稲田アカデミーに限らず、どこの塾も力を入れてくるはずなので、授業の質も授業以外のフォローも厚くなるはずだ。ただし、NNの受講には選抜テストがあるので、受講するためにNNのテスト対策に早めに行っておくべきだ。
NNに合格できなかった場合は、土曜日集中特訓の「開成中の国語」を受講するか、所属校舎で過去問指導をお願いしよう。(身も蓋もない事を言ってしまえば、手厚い指導を望むのであれば、塾にとって価値ある生徒であると塾に認めてもらうのが一番だ。開成中志望者、最上位校志望者であれば、それは可能なはずだ。)
YTテストに関しては9月以降の受講をしなくてもかまわない。また、日曜日特訓は個々の学習状況を考え、様子を見て受講を決めればよい。
⑤塾の学校別テストの位置づけ
早稲田アカデミーや四谷大塚の生徒は、常に塾のテストを受け続けているような状態なので、それだけでも消化不良になりかねないが、開成や桜蔭といった最上位校に最多の合格者を出しているサピックスの学校別サピックスオープンは受験しておきたい。サピックスの開成対策が最高であると言うのではないが、サピックスのブランド力が最上位校の志望者を集めてしまっている現状を考えると、その生徒たちと他流試合をしてみる事は意味があるし、サピックスが持っている開成の情報やノウハウを学べる。他塾の生徒と勝負してみるのはモチベーションアップにも有効である。