上手な塾の使い方・SAPIX
著者: doctor | 最終更新日: 2013-01-25 01:43:42
5・駒場東邦中の塾別学習法の提案
SAPIX
概要
5年 | 読解力の土台作り (ジャンル別読解・テーマ別読解の基本・語彙力アップ・記述力向上) |
---|---|
6年前期 | テーマ別読解の深化+記述対策→全体記述・要旨記述・主題記述の考え方をしっかり学ぶ |
6年夏期 | 入試レベルのテーマ別読解+記述問題の特訓 |
6年後期 | 難関校レベルのテーマ別読解+過去問演習+記述力深化 大手塾の学校別テストを活用 |
駒場東邦中志望者がSAPIXで主に使用するテキストと学習法
Aテキスト(いわゆるA授業)
テキスト内容
デイリーチェック(復習テスト)+知識問題+短文演習という構成。
なんといっても、この授業のメインはデイリーチェックです。
これは授業のはじめか、終わりに行う復習テスト(前回のテキストが範囲)で、上位コースほど100点満点中100点を取ることが求められます。
テスト内容は、前回のテキストの巻末にある漢字問題と授業時に扱った知識問題が中心。漢字は毎回範囲が決められていて、その範囲を自宅学習で覚えてくることになります。
知識分野は、前回扱われた問題を加工して出題されます。
効果的な使い方
授業で扱う、扱わないにかかわらず、知識問題は全部学習しましょう。
駒場東邦中は物語文しか出題しないからと、志望者は知識問題を軽く見がちです。しかし、記述力の土台は語彙力ですし、駒場東邦中の物語は心情説明が多いので、言葉の力がないと解けません。
ですから、しっかり学習しておきましょう。
わからない言葉や慣用句、ことわざなどは辞書で調べて意味を理解しながら覚えましょう。
漢字は一か月に一回、4回(4週)分のデイリーチェックを使って「振り返りテスト」を実施して、漢字の定着を図りましょう。
文法問題や敬語問題は理屈を理解しないと大変なので、わからなければ機械的に覚えるという事はせずに、しっかり講師に聞いて理屈を理解しましょう。
とにかく、知識、文法、漢字をこのテキストを活用してしっかり取り組むことが、最重要です。
注意点
上述したように、駒場東邦中は物語文しか出題しないからと、志望者は知識問題を軽く見がちです。
まして、サピックスでは漢字や知識問題を授業で扱うのは、この授業しかなく、しかも上位コースほど知識問題は流されてしまうことが多いです。
このような状況に加え、どうしても知識の学習指導は一方的になりやすく、文法問題もテクニックだけ教える講師が多いため、結果的に語彙力不足や文脈力が弱い生徒が多くなってしまいます。
もちろん、これらは読解や記述問題にも悪影響を及ぼし、国語が苦手な生徒が多く出てしまう可能性も高くなりますので、気を付けていきましょう。
Bテキスト(いわゆるB授業)
テキスト内容
サピックスの売りである記述力を養成するために行われます。
5年のテキストは、開成中や麻布中、筑波大学附属駒場中、駒場東邦中などの過去問もしっかり織り込まれていて、設問もそのまま選択肢を記述問題にするなど、物語文の難易度は非常に高いです。
6年になると、論説文や随筆が多くなります。
扱われる文章は長文で、テキストページは10ページ以上の場合が多く、とくに5年生の後半は15ページくらいになることも珍しくはありません。
記述問題は10問以上あり、授業で扱う問題数はだいたい5、6問程度です。
ただ、最近はオリジナル問題(ほとんどはサピックスの授業マニュアルに示されている問題だが)中心にシフトしていて、テキスト問題をほとんど扱わないため、家庭学習が膨大になりつつあります。
効果的な使い方
1・文章のジャンルごとに「読み方」を意識して取り組む。
文章のジャンルは、年始の保護者会で配布される「○年年間学習法」に記載されていますので、それを参考にして準備しておきましょう。
以下、駒場東邦中によく出題されるジャンル別の読み方です。
物語文
文章の初めで設定を押さえる。(人物関係・主人公の境遇・特徴・時代設定など)
→主人公の動作、表情、心情に線を引きながら、心情の変化のきっかけと最終的な心情の結末をとらえる。
2・文章の主題・要旨を意識した学習をしていく。
Bテキストはそれぞれ主題、要旨を読み取らせる設問が、最後に用意されていますので、授業で扱う、扱わなかったにかかわらず、しっかり解いておきましょう。
それが、やがて駒場東邦中の入試問題を解くときに役立ちます。
3・記述演習を正しく行う。
記述問題は、
- A・設問までの考え方
- B・構成を意識した文章のまとめ方
- C・文末表現や文の繋ぎ方、比喩を使わないなど、細かいルールを意識した解答作成
以上の3つをしっかり理解しながら復習する事が大切です。
もちろん、書き直しは自分の力で行うことは原則ですが、これらのことを意識して学習しないと、単なる解答の暗記になってしまうので、注意してください。
生徒の復習例
記述問題への取り組み方
細部記述
- 傍線部の説明
- 心情説明
- 理由説明(行動の理由も含む)が主になるので、
設問の意図をしっかり読んで、
↓
傍線部を分解して、具体化する
(指示語・抽象的な表現・比喩・心情表現などを具体化する)
↓
本部中に手がかりを複数見つけ、
- ~は、~ということ。
- ~ので(ため)、~ということ(から。)
- ~のに、~ので、という気持ち(から。)
という形でまとめていく。
全体記述
設問のつながり(今まで解いてきた設問がヒントになっているということ)を意識しながら、細部記述の手順を活かし
↓
今までのいきさつ + 変化のきっかけと感じたこと + 今(傍線部や結末)の気持ち
という形でまとめていく。
要旨・主題記述
設問のつながり(今まで解いてきた設問がヒントになっているということ)を意識しながら、細部記述の手順を活かし
↓
要旨→ | 文中の言葉を土台に、対比された考えや繰り返される筆者の考え、結論部分でまとめた考えを理由説明した上でまとめていく。 |
---|---|
主題→ | 物語で主人公が学んだこと(教訓的なもの)を土台に自分の言葉でまとめる。 |
以上の2つの学習を軸にしながら、国語の問題への適応能力を高め、正答率を上げていきます。
さらに、演習問題の復習では
設問→解答までのプロセスをしっかり学んで、自分で書けるようにしておく。
そうすれば、論理的な思考力も身についていくと思います。(ただし、講師があくまで上記のような論理的な解法で説明することが条件ですが。)
注意点
このテキストの欠点は体系的なカリキュラムが組まれていないことです。
物語文→説明文とバラバラなため、体系的な学習ができないので、文章の読み方などを徹底させることすら難しい状況です。
さらに設問もほとんど記述問題ですので、記述が苦手な生徒は手も足も出ず、途方にくれることも珍しくないです。そのことを考慮して、最近は穴埋め問題を多用しているようですが、それで記述問題ができるようになるわけではないので、無意味な授業になりやすいです。
担当講師は、社員講師かベテランが多く、役員の方も担当するのはB授業になります。
このBテキストは、扱う講師の力量によって、家庭学習の負担が大きく変わります。
講師は、生徒が書いた答案をその場で添削することが原則ですが、その添削の仕方で講師のレベルもわかります。
また6年になると、生徒に自己採点をさせる講師も増えますが、効果的かは疑問です。
志望校別テキスト(夏期志望校別特訓・SS特訓で使用するテキスト)
テキスト内容
駒場東邦中を目指している生徒は、ほとんど駒場東邦中コースに入れられますので、基本的には、駒場東邦中の過去問+駒場東邦中の学校別テストの過去問が内容になります。
ただし、単独コースでない場合は、開成中の過去問+学校別テストの過去問を扱うコースに入れられることが多いです。(開駒コースはその典型)
効果的な使い方
このテキストは、
- A・記述対策
- B・主題・要旨対策
など、主に駒場東邦中の傾向に沿った設問タイプ別対策として活用するのが有効です。
ただし、題材は駒場東邦中向きのものとは言えない部分もありますので、これと過去問だけで対策は充分というわけではありません。
注意点
上記であげたように、志望校対策はこれで十分というわけではありません。
現に私自身、個別指導ではSSのフォローはあまりしません。それより、市販のテキストをしっかり活用します。ただ、そうは言ってもSSの復習はしたほうがいいので、学習の優先順位をしっかりつけて、学習計画を立てていきましょう。
土曜日の特訓・GS特訓で使用されるテキスト
テキスト内容
基本的には、全コース共通教材になります。
上位コースや御三家コースほど記述タイプの問題を取り組むことになります。
効果的な使い方
このテキストで駒場東邦中対策につながるのは、
- A・記述対策
- B・主題・要旨対策
などの駒場東邦中に頻出の設問傾向に慣れるという点です。
復習をする際には、Bテキストの学習と同じように、上記のことをしっかり意識していきましょう。
ただ駒場東邦中対策に繋がらない部分もあるので、6年前期はしっかり復習し、後期はSSの教材の復習を優先していきましょう。
注意点
上記であげたように、志望校対策に直結するテキストではありません。
学習の優先順位をしっかりつけて、学習計画を立てていきましょう。
土曜日の志望校別の復習は、2学期以降は取り組まなくてもいいでしょう。
記述力表現力講座(SS特訓の単科講座で使用されるテキスト)
テキスト内容
文学的文章と説明的文章の2題構成になります。
毎回、添削教室が付いており、大概1の文章についています。
上位コース(記述表現力1とか2という名前のコース)ほど、2題とも取り組む傾向があります。
文章量+難易度はBテキストの1・5倍ほど上がります。
効果的な使い方
このテキストで駒場東邦中対策につながるのは、
- A・記述対策
- B・主題・要旨対策
などの駒場東邦中に頻出の設問傾向に慣れるという点です。
復習をする際には、Bテキストの学習と同じように、上記のことをしっかり意識していきましょう。
注意点
このテキストは物語文+論説文・説明文と毎回2題構成で量も多いため、完全に消化不良になります。
講師の方も文章、設問量が多いので、解説が一方的になり、添削したものも当日返却できない場合があるようです。生徒に自己採点をさせる講師もいますが、効果的かは疑問です。
さらに設問もほとんど記述問題ですので、記述が苦手な生徒は手も足も出ず、途方にくれることも珍しくないです。
担当講師は、社員講師かベテランが多いですが、必ずしも役職者とは限りません。
読解力講座(SS特訓の単科講座で使用されるテキスト)
テキスト内容
1冊のテキストで文学的文章と説明的文章が用意されていて、それぞれ標準レベルと発展レベルの2題構成になっています。それプラス知識問題になります。
文章題はいわゆるA、ABタイプで、選択問題や記述問題がバランスよく出題されています。
ほとんどが、どこかの入試問題です。
文章量+難易度は土曜日特訓のテキストの1、2レベルといっていいでしょう。
担当講師は、このテキストを全部扱うわけでなく、いくつかの問題をセレクトする形になります。授業は演習スタイルです。
効果的な使い方
このテキストで駒場東邦中対策につながるのは、
- A・選択問題対策
- B・主題記述対策
などの駒場東邦中に頻出の設問傾向に慣れるという点です。
復習をする際には、Bテキストの学習と同じように、上記のことをしっかり意識していきましょう。
注意点
このテキストは物語文+論説文・説明文と毎回4題構成でかつ、講師の方も文章、設問量が多いので、解説が一方的になり、記述問題の添削したものも当日返却できない場合があるなど、必ずしも弱点補強につながらないこと悩みの種です。記述問題を生徒に自己採点をさせる講師もいますが、効果的かは疑問です。
担当講師は、比較的大学生など若手が多いです。(6年を担当したことがない講師も多いです。)
コースレベル別学習の目安
コース レベル |
5 年 | 6年 前期 | 夏 期 | 6年後期 |
α1 |
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α2・3 |
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α4~6 |
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アルファベット上位 |
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